『京都の雑貨屋さん特集』@京都伊勢丹

「これすごく素敵」

そう思う作家さんの作品に出会うとき、ちょっと体の体温が上がる気がする。民藝やアート、文化的なものを良しとする土地柄と家庭環境で育った私は、作家の手により作られた素敵なモノに会うたびに心が少し飛び跳ねる。それはガラス細工であったり、雑貨であったり、イラストであったりとジャンルは様々であるのだけれど、どれも強く心惹かれる。一方で同時に思うことが、「もっと魅力的に魅せる知識と技術があれば、もっと!多くの人にこの魅力が伝わるのに」という、なんとも職業病的な呟き。

お客様から見た目線、お店での客導線、コンセプトを魅力的に伝えるPOPの使い方など、ほんのちょっとの知識と技術で、もっと世に出て広く魅力が発信できるのになあ、もったいないなあ、と必ず思ってしまう。気になる作品に出会った時に限ってこう必ず思ってしまうのは、やはりもう間違いなく職業病でしょう。

元々企業勤務をしていた私が独立をしてMICATA Brain.を立ち上げた理由も、ルーツは『自分が惚れた作品・商品を作り出す作家を、売れる作家に育てたい』であったことを、最近ふとした会話から改めて思い出させてもらった。

そんな中、四年前からその世界観・モノづくりにおける姿勢に魅力をたっぷり感じているデザイナーユニットが、花と文字の贈り物をテーマに発信をする京都のブランド「Mesda nu kyad」。今回彼女たちが初の百貨店出展をすることになったのを機に少しお仕事をさせて頂くことに。
www.kyad.jp
一目でその作品に惚れ、MICATA Brian.のロゴ制作をお願いしたという経緯で縁を持った彼女たちは、知りあってからあれよあれとよいう間にステージを駆け上っている。昨年念願のアトリエ兼ショップを京都・北大路の洋館にオープンし、その後はインテリア雑貨などの雑誌を中心に、アンテナの高い人々に早々に注目されて来た。今年6月には京都駅近くのクリエーターが集うレトロなビルに店舗を移転。そしてまだ出店2年目でありながら、現在JR京都伊勢丹さんで夏の間期間限定出展をしているのだから、異例のスピードではないだろうか。

伊勢丹催事場の様子
作り手が、作品の世界観と思いを壊すことなく、"商品として外に価値を発信していく"ということは、とても難しいことだ。大手企業であってさえ、商品開発者と宣伝担当者では商品の見方が全く異なる。開発者がいいと思っている点が、世間で売れる訴求ポイントになるとは限らない。
作家が創り出す商品の数々は、『商品』と『作品』の間にあるのではないか、と思う。だからこそ、世界観と商品としての価値を両立させることはとても重要だし、このバランス感覚がないと商売として成り立つのは極めて難しい。好きなモノを作ることと、売れるものを作るのは違うという二つのバランスも、また重要であるだけに難しいのだろう。どちらか一方に偏ればアマチュア作品になり、もう一方に依れば大量生産される商品と何ら変わりがなくなる。

彼女たちはこのバランス取りを、見事にさらりとやってのけているところがすごい。二人の持つ高いアンテナ、美意識、職人気質、プロとしての自覚、そんなものすべてが混ざり合って作り出すMesda nu kyadの花文字雑貨は、懐かしくて華やか。きちんと作られたモノは、手に取る人に伝わるものだという当たり前のことを前提にしているから、買う方も嬉しくなるのだろう。私自身がそう思った一人だからよくわかる。
今回のJR京都伊勢丹の出展を機に、Mesda nu kyadは今後多くの人の目に触れ、小さな幸せをあちらこちらに振り撒いていくのだ。

お声をかけて頂いた伊勢丹さんの方々もみなさんいい方ばかりで、新しいものを好意的に受け入れる懐の大きさを感じる。こういった運を持っていることもまた、彼女たちの魅力の一つであろうと、今回現場に立って感じた。マーケティングコンサルという立場からも、一個人からも力を貸したいと思う、そんな魅力的なブランドなのだ、Mesda nu kyadって。先日は産経新聞朝刊にも取り上げられ、今後の活躍が益々楽しみ。これで地元京都の方の目にも多く触れることになるでしょう。
今回出展にあたり、ブランドそのものの認知度を上げようと、広くお店を知ってもらう為のチラシも用意。購入しないお客様にも実店舗とネットショップの情報が伝わるチラシに仕上がっていて、裏面にはトレードマークの小花模様がおしゃれで、ほとんどの人が手に取って行ってくれている。

モノづくりをする作家に必要な事は、『1割のマーケティング知識』と、もう1割の『専門家に任せるという選択を取れる思考力』だと、今現在思っている。MICATA Brain.としては次のステージとして、売れる作家を作る"作家のMICATA(仮)"事業に、秋以降取り掛かりたい。これは実はかなり前から温めていたアイデアで、単なる事業の一つではなく、私自身が本当にやりたいことの一つとして、作家のサポートができる存在になっていけるように道を作っていきたいと思っている。日々、これ精進なんだけど。


Mesda nu kyadが出展している『京都の雑貨屋さん特集』は、8/31までJR京都伊勢丹10階 中央エスカレーター脇特設イベントスペースにて開催中。

お隣で同時出店をさせて頂いているDuce mixさんは、三条高倉でアトリエ作家さんの手作り雑貨を中心に、雑貨好きの間では大人気のお店。こちらも素敵な商品が所狭しと並んでいるから要チェック。

お近くの方、ぴんと来た方は会場へ遊びに行って、彼女たちの世界を体感してみて。

■JR京都伊勢丹イベントページ:
http://kyoto.wjr-isetan.co.jp/floorevent/1108goodsshop/index.html

 
■Mesda nu kyad伊勢丹特設ページ:http://www.kyad.jp/isetan.html



■お知らせ■MICATA Brain.は8/23-31まで夏季休暇を頂きます。


MICATA Brain.(ミカタブレイン)ウェブサイト:www.micatabrain.com